（あ・・・あん。）
無意識に出そうになる声。・・だんだん押さえる事が不可能になってきているのは、私も分かっていました。・・マルセルさまが、耳にしたキスは、ちゅっ、と音をたてただけだったのに、私の体をびりびりと痺れさせてしまいました。
恥ずかしさが、気持ち良さに押されて、だんだん意識の外になってきて。
・・マルセルさまは、女の人をこんな風に抱いた事なんてない筈なのに、まるで私の体を知り尽くしていたかのように、私が感じてしまう場所を当てていくの。
ブラウスのボタンが外されていくことに気付いたけれど、もう私の体は、拒否する事なんてできなくなっていました・・。
（どうしよう。）
・・マルセルさまは、もちろん大好き。・・このまま結ばれたって、きっと私自身はイヤじゃないわ・・・。でも・・。でも、本当にいいの？
「・・・ふ・・んっ。」
初めて、人に触れられた、私の胸。恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないはずなのに、私はいつの間にか、声が出てしまっていました。
「・・アンジェの胸・・・とってもきれい。」
マルセルさまの手が、胸を覆っている下着の中に、優しく滑り込んできていました。
暖かく、柔らかい手が、私の固くなってしまった膨らみの先につんつんと触っているの。
「・・・あ・・ん。マルセルさまっ。」
体の奥が、どんどん熱くなってきてる。・・マルセルさまは、ふと私の背中に手を回し、くるりと私の体の向きを変えると、そっとレジャーシートの上に、私の体を横たえさせました。
☆ ☆
アンジェリークは、ぼくを見上げていた。
まだ太陽は高い。・・木漏れ陽は、アンジェのうるんだ瞳と、乱れた髪に、きらきらと跳ね返って光っている。
もう、何も考えられない。・・アンジェのうるんだ瞳は、不安にも見える。でも、それ以上にぼくの事を求めていた。
−−なんて、きれいなんだろう。
アンジェは、ぼくの腕の中で、どんどん色っぽくなってきちゃった。・・汚したくないのに、傷つけたくはないのに・・。ぼくの頭は、アンジェの声を聞くたびに、アンジェの顔を見るだびに、どんどんあちこち切れて、ショートしていっている。
きれいな胸の谷間。かわいい下着が、アンジェの柔らかい胸を覆っている。
そっと、背中に手を回す。金具を外して、肩紐を下げると、アンジェのふんわりした膨らみが、ポロリとこぼれ落ちてきた。
（うわー・・・。ぼくの想像していたより、ずーっときれい。）
「きゃっ！」
頬をそめて、前を覆おうとした腕を押さえ、ぼくは、ふくらみの先にちょこん、と付いている、可愛い突起を口に含んだ。
「あ・・・あん・・マルセルさま・・私・・・。」
アンジェの小さな声が、ぼくの耳をくすぐる。
「大好き。大好きだよ、アンジェリーク。」
ときどき顔を離して、ぼくは何度もアンジェの耳元でささやいた。
（これは私？本当に私なのかしら。）
優しいキス。甘い吐息。髪に反射する光と、だんだんと熱を帯びてくる体温。
今まで見たどんな夢よりも、夢のような出来事・・・。こんな世界があることも、
自分にこんな面があることも、私は今まで、何も知らなかったのね。
−−愛する人と、抱き合う事。それはおぼろげに見ていた夢のひとつ。
でも、こんなに突然にやってくる事だとは、全然思わなかったわ。
・・マルセルさまの手が、少しずつ下に移動してくるのを感じ、私はふと気付いた
ことがありました。
（まだ、私だけ・・。）
「待って、マルセルさま」
☆ ☆
アンジェリークは、うるんだ瞳を開いて、ぼくの瞳をじっと見た。・・ぼくはちょっ
と緊張して、スカートにのばし始めていた手を止めた。
「・・私だけなんて、ずるいです。マルセルさまも、・・脱いでください。」
「え・・あ・・。ええっ？！」
「だって、私だけこんなに一人で気持ち良くなっちゃって、・・恥ずかしいです。
私もマルセルさまに気持ち良くなってもらいたいんです。」
「・・ぼくは、その、君が気持ちいいのを見てるだけでも、すごく気持ちがいいんだど・・。」
急に、何だかアンジェが積極的な事を言ってきたので、ぼくはとてもビックリしてし
まった。・・さっきまでは、何となくためらっていたようだったのに・・・。
「そんなのはだめ。」
アンジェは、ぼくの上着の金具を、既に外し始めていた。
☆ ☆
「ふふ・・。日焼けしちゃうよね・・少しは日焼け止めになるかなあ。」
マルセルさまは、太陽の光に、きれいな肌をさらすと、髪を結んでいたリボンも
ほどきました。
・・マルセルさまの体は、本当にきれいでした。
白くなめらかな肌と、細くスラリとした腕。
ほどいた髪はさらさらと背中を覆い、マルセルさまのきれいな体にまとわりついて
いました。・・そして。
「・・男の人も、ここって、気持ちいいんですか？」
私は、白い胸にぽつんと二つある、小さな突起をつついてみました。
「・・あんっ。・・アンジェ。そんな事したら感じちゃうってば。」
「・・やっぱり、気持ちいいんですか？」
「う・・うん。気持ちいいよ、アンジェ。」
☆ ☆
ぼく達は、それから次々と、お互いの気持ちのいい場所を見付け合って、とにかく
夢中で愛撫しあっていた。・・アンジェの下着の最後の一枚を外した時は、既に
アンジェはびしょびしょになっていて、初めて触れる場所なのに、全然違和感なく
ぼくの指が入っていった。
「あ・・・あ・・マルセルさま。・・変な感じ・・。」
「ここのところが、気持ちいいんだね？・・キスしたいな。」
ぼくは、アンジェの足をそっと開くと、濡れて光っている場所に唇を寄せた。
「は・・・あんっ。マルセルさま・・そんなとこダメ！」
ぺろぺろと舌を動かすたびに、アンジェの可愛い太ももがぴくぴくと動く。
・・小さな突起の方にも舌を動かしてみると、アンジェは腰をひねって、ぼくから
逃げようとし始めた。
「ふ・・ん。ああん。ダメ・・。体が・・・ヘンに・・。」
ぼくは、そのままキスを続けながら、再びアンジェの中に指を進めていった。
「は・・・。はんっ。・・」
中で指の曲げ伸ばしまでできるくらい、アンジェの中はとろとろになっていたんだ。
☆ ☆
私は彼に抱き締められるたびに、気になっていた事がありました。
マルセルさまの下の方に、なんだか固くなっているものがあるのです。
私を求めてくれている・・と思うととても嬉しいけれど、少し怖いような気も
しました。
・・本当にそんな風にひとつになってもいいのでしょうか。
さっきより、もっともっと引き返せないところまで行ってしまってるけれど、
それでも最後まで「する」のと「しない」のとでは、全然違う。
こんな事を考えつつも、私は気が遠くなるほどの快感の波に呑まれそうになっていま
した。
「・・アンジェ。アンジェ・・？」
アンジェリークの額は、うっすらと汗ばんでいた。
太陽の下で、ぼく達の体温は増すばかりだった。
（ちょっと、暑い。）
ぼくは、アンジェに触れていた手を少しだけ休め、ちょっとだけ冷静になって、
ちらりと周りを見てみた。
放り出したままのバスケット。
さえずる小鳥の声と、そよと吹いている風。
ぼくは、改めて、アンジェを見つめる。
アンジェもうっすらと瞳を開いて、ぼくの方を見た。
うるんだ瞳と、半開きの口。早い呼吸と、桜色の頬が、ぼくの視界に否応なしに
飛び込んできた。
（アンジェが欲しい、け・・ど。）
（アンジェ。アンジェリーク。君がとっても好きだけど。）
これ以上、こうしていたら、取り返しがつかない事になっちゃう。
「アンジェ・・。・・ごめんね。・・こんな事しちゃって。・・これ・・以上は、やっぱり・・・」
ぼくは、再び、アンジェの両足を持ち上げると、彼女の中に顔を埋めた。
「は・・・っ・あんっ！・・マルセルさま・・。」
「ねえ、アンジェ。どうすると気持ちがいい？・・このまま、アンジェを最後までいかせてあげる。」
「・・！だ、だめですっ！そんなの！」
「・・え？」
「・・一緒に、気持ち良く・・なりましょう。マルセルさま。」
（え・・それは。）
「本当に・・いいの？アンジェ。」
「・・・マルセルさまが後悔しないのなら。」
「・・・初めての時は、とっても痛いって聞いたよ？」
「・・知ってます。・・大丈夫です。」
「アンジェ。」
「その代わり、約束してくださいね。ずっと、私と一緒に居てくださるって。」
☆ ☆
その言葉が、合図になったように、マルセルさまは、私の中に少しずつ入って来
ました。
体の真ん中を貫かれるような、初めての痛みを感じ、私は思わず体を緊張させて
しまいました。
「あ・・・う・・。」
「アンジェ・・。だいじょうぶ？」
「ん・・・。やめな・・いでください。」
「アンジェ・・う・・熱い。」
思ったとおり、とても痛いのは、最初の方だけだったみたいでした。
マルセルさまが奥まで入ってきた時には、重いような痛みだけが残り、あの
焼けるような痛みはおさまってきたのです。
「あ・・・アンジェ。・・うごいて、いい？」
私が落ち着くまで、必死にガマンしてくださっていたようで、マルセルさまは
ぎゅっと私の肩をつかむと、ふうっ、と息を吐きました。
「あ・・は・・い。」
私は、大きく息を吐くと、彼の背中に手を回しました。
☆ ☆
アンジェの中。
熱くとろけて、どうにかなってしまいそう・・。
最初、アンジェの体はとても強ばっていた。
だんだん、アンジェの体がゆったりと開いてきたので、ぼくは少しずつ体を動かした。
夢のなかで、ぼくの恥ずかしい想像の中で、いつも抱き締めていた君。
ダメだと、自分に言いきかせても、止めることができなかったんだ。
君の吐息に、ぼくは何も考えられなくなってしまったよ。
ねえ、アンジェ。ぼくとこうしているのは、気持ちいい？
☆ ☆
痛みが鈍くなるのと同時に、私の体の中は今まで知らなかった感覚が芽生えて
くるのがわかりました。
今まで、生きてきて、全く知らなかった感覚。
体の奥が、熱くて、たまらないわ。
私の中に、彼がいる。・・ひとつ・・になっている・・ってこんなにもすごい
ことだったのね。・・体中から大好きな気持ちがあふれだして、もう自分では
おさまりきらないの。
・・マルセルさまは、私とこうしていて、どんな感じなのですか？
私だけじゃなくて、あなたにも気持ち良く、なって欲しいの。
☆ ☆
ぼくが、あっ、と思って、アンジェから体を離そうとした時はもう遅かった。
アンジェは、ぼくの体を離さずに、ぎゅっときつくしがみついてきたんだ。
「・・マルセルさま・・・わたしっ・・」
アンジェの中がぴくぴくしている。・・ぼくはあきらめて、自分が昇りつめていくのに、身をまかせていた。
☆ ☆
「レジャーシート・・ダメにしちゃって、ごめんね。」
ぼくは、本当に泣きたい気持ちだった。
汚れたシートと、ぐったりと動けなくなってしまったアンジェを見ていると、
ぼくはたまらなく情けない気持ちになってきていた。
（どうしよう・・。アンジェを傷つけちゃった。・・ぼくは、なんて事を・・）
「・・後悔しないでください・・って、言ったのに。」
アンジェはぐったりした体を少しだけ起こすと、ぼくを横目で見た。
「アンジェ。・・怖い顔だよ・・。」
「・・ずっと一緒にいてくださるんじゃ、なかったんですか？」
「え・・。それって・・。それって、女王さまにならないで、ぼくといてくれる・・て、そういう・・意味なの？」
「・・どういう意味だと、思ったんですか？・・さっき私が言った事、聞いてくれてなかったんですか？」
「え・・・もちろん聞いてたよ・・。」
（でも、ちょっと頭がショートして、深く考えてなかったかも）
ぼくの心の声を聞いていたかのように、アンジェは突然にっこりと笑い、
起き上がってぼくに向き直ろうとしたんだけど。
「・・・い・・た。」
起き上がれなかった。
「アンジェ・・。」
「・・とりあえず、私がここから帰る方法を、一緒に考えてくださいね。それと、
もし、これで、赤ちゃんができたら、どうするかもね。」
「え・・・ええ！」
「・・そんなにびっくりしないでください。・・マルセルさまが、それを知らない、
なんてことは、絶対ないでしょう？」
・・それは、そうだけど。
ぼくは呆然としてしまった。女のひとって、すごく強いんだね。
でも、悪くないかもしれない。君との生活。君との赤ちゃん。
・・・まだ、考える時間はゆっくりあるよ。
だって、ぼく達はずっと、一緒なんだから。ね？
メルユミさんからの賜りものです。非常に（ここ強調）少ないマル×リモのお話です。マル×リモは、初々しさが
なんとも言えず、こう春見の心をつくのですが、メルユミさんは、私のツボを心得てらっしゃる(笑)
お互いがお互いを思う、これってとても大切なことだと気付かせてくださいました。
この二人はハッピーな未来しかないでしょう。
ありがとうございました。