ほんとうの心は？

日が沈み、空が紫色に変わってくるころ。

今日も夜が訪れ、俺の心に葛藤が始まるんだ。

女王候補アンジェリーク。

おとなしく、優しげな女の子。

今まで俺が好きになった女の子とは、全然違うんだ。−なのに・・。

あの子のやわらかなほほ笑みと、ほのかに桜の花のような色に染まった頬。

澄んだ小さな声と、さらさらした髪。

彼女の全てが俺を狂わせるんだ。

こんなことは、いままで１度もなかった。

好きな、女の子。

今までいなかったわけじゃない。

だけど、こんな風に自分の欲求が押さえられなくなってしまったことなんて・・。

俺は、自分が許せないんだ。

彼女を傷つけてしまった。俺は守護聖で、彼女は新しい宇宙の女王候補であるのに・・。

初めて彼女のくちびるを奪ってしまったあの夜・・。

全ての歯車はあれから狂い続けているんだ。

大きく見開いた瞳がゆっくりと閉じられ、俺を受け入れた君。

とても初めてとは思えないような甘く深い口付けを繰り返していくうちに、

俺と君の体に火がついていくのが分かった。

君の頬も、俺の背中に回された腕も熱く火照り、俺を求めていた。

そして、君を抱いた。

何度も、頭の中で、（やめるんだ！）という警告音が響いた。

だけど、君の白い胸の突起に唇をあてた時に聞いてしまった君の声に、

俺はどうすることもできなくなってしまったんだ。

かすれた、小さな小さな声だった。

でも、俺の動きに合わせて感じる君の声は、俺の理性を崩壊させるには十分すぎたんだ。

いままで、誰も受け入れたことのない君の中へ、俺は入っていってしまった。

君の中はとても熱く、君そのもののように、優しかったんだ。

君の本質が、君の中から真っすぐに俺自身を通して伝わってきたんだ。

・・もう、彼女に会いに行ってはいけない。

俺のわずかな理性が、繰り返す意味のない言葉だ。

彼女を傷つけることを、これ以上繰り返す訳にはいかない・・わかっているんだ、でも。

彼女に会わないなど、今の俺には耐えられないんだ。

何故なんだ。

俺の浅ましい欲望のためか。本当に彼女が好きなら、我慢することだってできるはずだ。

俺が今、自分でわからないのは、そこなんだ。そして、アンジェリークも。

アンジェリークは、なぜ、俺に黙って抱かれている？

俺も彼女も、性愛に溺れ、自分たちの真実が見えていないのではないのか。

俺達は、本当に愛し合っているのか？

もし愛し合っているのなら、自分たちの今の立場を先に整理するべきなのではないか。

止まらない堂堂巡りの俺の思い・・。でも俺は。

また今夜、彼女の部屋に、忍び込むだろう。

そしてまた、飽きもせずに、罪を繰り返すんだろう、な。

アンジェに続く

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