始まりの時 （After the `Present for you. Var,Cravis`）
月明かりの下に浮かび上がる紫の薔薇。
それを見守るように佇む二つの影。
そう、クラヴィスとアンジェリークである。
クラヴィスの腕に支えられるようにして立っている少女は
もう、歩くこともできなくなっていた。
「…私に掴まれ。」
クラヴィスはそう言うと、アンジェリークの華奢な躰を抱き上げた。
「あ…」
夢か現か。アンジェリークは朦朧とした意識の中で心地よい浮遊感を感じた。
だが、青年の力強い腕の存在を感じると全身が熱くなっていくのが分かる。
クラヴィスは構わずに歩を進めて館に入り、ある一室に向かって歩いていく。
「クラヴィス…さま」
「どうした？」
「何だか…私…」
「ふっ、熱いのか？」
「えっ、どうして…」
「アンジェリークの熱さが伝わってくるからな…それに…」
「それに？」
「私も熱いのだ…お前でなければ鎮められぬほどにな。」
羞恥のあまり、アンジェリークはクラヴィスにしがみつき、顔を隠してしまう。
そんな愛らしい仕種さえいとおしく、クラヴィスは少女を抱き上げている腕に
力を込めていった。
すでに開いていた寝室の扉をくぐり、身体で閉めてロックする。
カチャリという音がアンジェリークの顔を上げさせたが、次の瞬間に
少女の身体は柔らかいスプリングに身を委ねていた。
「きゃ…」
アンジェリークが身を捩る時を与えずにクラヴィスは少女の躰を
自分の下に押さえ込んだ。
「アンジェリーク…」
アメジストの瞳が少女を捕らえる。アンジェリークは紫の輝きに捕らえられて
小鳥のように震えていた。
クラヴィスの髪がサラリと落ちるとアンジェリークの唇にクラヴィスの熱が伝わってくる。
包み込むような優しいそれではなく、理性をも焼き切りそうな熱さを感じる口付け。
執拗に求められる口付けに少女はまだ震えていたが、躰の強ばりは徐々に解けていった
しゅるっ…
アンジェリークの腕を開放していた手は、かわいらしい制服のリボンを解きながら
少女を知る旅を始めていた。
青年の指が少女の鎖骨を這い、ブラウスの上から胸を包み込む。
「んっ！」
塞がれている口からはすでに声は出ない。代わりに鼻に抜けるような吐息が漏れる。
軽く力を入れて揉みしだくと、アンジェリークはビクリッと反応した。
躰の震えを楽しみつつ、クラヴィスは少女の甘い口腔を名残惜しげに開放すると、
濡れた唇から蹂躙の証であるかのように一筋の糸が引かれていた。
「…敏感なのだな。」
「…･･っ」
言葉だけでも反応してしまい、まともに答えることもできない。
吐息と共に耳元で囁かれ、体中に痺れに似た感覚が走る。
その間にも、クラヴィスの指は制服のボタンを確実に外し、ブラウスの前を
完全にはだけさせていた。わざと抜き取ることはせずに、
アンジェリークの白磁の肌を少しずつ夜気に晒しつつ己の唇で紅い花を
咲かせていく。
「っ…あっ！」
滑らかな丘の頂きに舌を這わせると、アンジェリークは高く掠れた声をあげた。
悩ましい声に触発されたように、クラヴィスは蕾を舌で転がしていく。
「くぅっ！…っっ」
アンジェリークは、自分の物とは思えないほど甘く掠れた声が出てしまったのが
恥ずかしくて、漏らさぬようにと唇を噛みしめて感覚に耐えている。
それを察したクラヴィスは、恋人にとびきり甘く優しい口付けを贈った。
「そんなに耐えるな…声を聴きたいのだ……」
そう言うと、クラヴィスは自らの衣装も脱ぎ捨て、アンジェリークに被さっていく。
アンジェリークもクラヴィスを受け入れる様に細い腕をクラヴィスの背中に
回していた。
首筋にぬるりとした感覚があったかと思うと、すでにクラヴィスの手は
アンジェリークの下肢に行っている。
長い指が花芯を捕らえると、すでにそこは下着を濡らすほどに潤んでいた。
「だめ…ソコは･･っ」
「…ふっ、こんなに濡らして…感じているのではないのか？…」
「いやぁ…恥ずかしい…」
「もっと…感じてくれ…アンジェリーク」
しなやかな長い指が、アンジェリークの下着をはぎとり、秘唇を翻弄する。
「ああっ！」
「そうだ…もっと…」
「あっ…ああ･･あんっ…っ」
秘唇を弄ぶ指は、とめどなく溢れる泉の源泉に進入する。
「くあっ！…はぁ･」
今まで無かった異物感にアンジェリークは四肢を強ばらせて、中の指を締め付けていく。
始めての感覚にアンジェリークはほんの少しの怖れの色が見え隠れしている。
「大丈夫だ…」
「だ、だって…っ」
エメラルドの瞳に涙が溢れているのが見えた。
「私を信じてくれ…」
蕾にキスを贈りながら、労るように胸を包み込んだ。そっと愛撫すると
少女から強ばりが解けていく。そして、
くちゅ…ちゅん…
と濡れた音が響き出す。
指を２本に増やされて愛されている花芯は、クラヴィスの指のみならず、
シーツをも濡らすほどに愛液を溢れさせてひくついていた。
「アンジェリーク…」
「はぁ…んっ。く、クラヴィス…さま…」
エメラルドの瞳が艶と潤みを伴ってクラヴィスを見上げる。
その瞳は、すでに一人の女性としてクラヴィスを誘惑し、欲望を刺激する。
クラヴィスは、すでに高まっている己の欲望に従うことにした。
恋人の花芯を刺激して、すでに濡れそぼっている指をゆっくりとアンジェリークの中から出すと、
「お前の全てを…愛したい…いいか？」
一瞬にしてアンジェリークの全身がピンクに染まる。濡れたエメラルドの瞳をうっとりと細めながら
アンジェリークはかすかに頷いた。
「は…い…」
クラヴィスは、アメジストの瞳を愛しげに細めると、優しく、だが、絶対的な力で自分の身体を
アンジェリークの両足に割り込ませる。
「愛している…アンジェリーク」
少女が一番欲している言葉を紡ぐと、クラヴィスは自身をアンジェリークの中に沈めた。
「あ、あっっ…っ…んっ…痛」
恋人の指で馴らされていても、始めての痛みでアンジェリークの息が一瞬止まってしまう。
「…すまぬ…だが…もう…」
理性があるうちは…と思っていたが、アンジェリークの美しい肌と質感のある肢体を感じては、
もう、最低限の理性しか残されていない。
目に涙を浮かべながらクラヴィスを受け入れている恋人の強張りが幾分か解かれるまで、
クラヴィスは、最後の理性で動かずにいた。
「…辛いか？」
「いいえ…ただ…痛い…けど…貴方だから…」
激痛に耐えながら、そう言う恋人がいとおしい。天使の一言はクラヴィスの最後の理性を
断ち切るのに充分だった。
「アンジェリークっ…」
小さく息をしている少女の細い身体を力強く掻き抱きながら、欲望のままに少女を蹂躙していく
「くっ…はぅっ･･ん…あ、あふぅ…っ」
「っ…アンジェ…」
快楽の全てを貪るようにクラヴィスが激しくアンジェリークを突き上げて行く…
ず…ずちゅくちゃ…ん…。一つになっている場所から溢れ出している濡れた水音が少女の羞恥を、
そして青年の悦楽をより引き出して行った。クラヴィスは奥歯をかみ締めながら、はじけそうになる自身を制する
「全てを･…お前の…中に…」
「あはぅっっん！」
快楽の頂きを共にするために、クラヴィスはアンジェリークの中で激しく動いた。
アンジェリークは、クラヴィスを追う様に究極へ上り詰めていく。
「あ、あっ･…くはぁんっ…も･だ…め…んっ…あん…あ、あーーーーーーーーーーーーっっ！」
「っ･…くっ…アンジェ…っ！」
二人で上り詰めた快楽。恋人のきつく甘美な締め付けに、クラヴィスはたまらず放ってしまった。
アンジェリークの中で自身が脈打ちながらも証を注ぎ込んでいるのが分かる。
２・３度大きく震えた後、アンジェリークの上に崩れるようにして倒れこんだクラヴィスを
アンジェリークは迎え入れるようにして胸に抱きしめた。
「…クラヴィス…さま…」
「…ん…」
「愛して…ます…」
「ああ…私もだ…」
滑らかな質感の双丘を顔に感じつつ、クラヴィスはアンジェリークを抱きしめ返した。
「あ、あの…」
「どうした？」
アンジェリークの胸から上体を離したクラヴィスは、頬を薔薇色に染めたアンジェリークを
見下ろしながら聞き返す。
「あの…私で…満足…していただけました…？」
頬どころか全身を赤く染めながらぎこちなく聞いてくる。
愛された後の女性だけが持つ艶を全身から香らせる肢体に再び唇を這わせながらクラヴィスは答えた。
「ふっ…言わずもがなだろう…私を鎮められるのは…お前だけだ…」
「あ、ああっ…」
自分が疲れているだろうに。なお、恋人のことを優先してしまう少女が愛しくて、クラヴィスは
またアンジェリークに重なっていく…
アンジェリークが、意識を飛ばしてしまった頃には、もう月が西の空に傾いていた。
「…無理をさせてしまったな…」
情交の痕が残るベッドと金の髪を乱しながら眠っている恋人を見つめながら、自嘲的に呟く。
アンジェリークに関しては理性に歯止めが効かないのだ。彼女抱きしめて慈しみたい、腕の中で
思う様蹂躙し狂わせてみたい…二つの感情がクラヴィスのなかでせめぎあう。
だが、今は疲れて眠る彼女の安らぎを守りたい…
クラヴィスは、出窓に備え付けられている引出しの一つを引き、目的のものを見つけ出す。
それは、細長い箱だが、紺色のラシャ地で包まれているケースであった。
ケースの蓋を開け、中身を確認する。
月明かりを受けて静かに光るそれは、シルバーゴールドのチェーンとアメジストのヘッドを組み合わせた
ペンダントだった。
アメジストのペンダントヘッドはクラヴィスが以前に身に着けていたアメジストのネックレスの
石の一部を加工したものである。
「アンジェリーク…これからは、私が守る…お前への誓いだ…」
ペンダントをそっと戻したクラヴィスは、気だるい眠りの海を漂う恋人の額に口付けを送った。
夜明けまでにはまだ間がある。クラヴィスもベッドに戻り、天使が眠る海へと漕ぎ出していった。
…こうして、天使の名を持つ少女は愛する男性の腕の中で、蕾から大輪の薔薇へと開花した。
もう、何も知らない無邪気なだけの天使はいない。天使は自らの純白の両翼を落とす替わりに
‘伴侶‘というかけがえのない片翼を手に入れたのである。
クラヴィスの誓いの証であるペンダントは、黄金の朝日の中で輝く天使の元に無事届けられたことを
追記しておこう。
〜Fin
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･･…う〜むむむ（-_-）駄文ですね〜。精進ですぅ。
表のテーマ物：紫の記憶からの続きとして書いて見ましたが…難しいです、裏って（大汗）
春明さん〜！！ 最高です。春見、情熱的なクラヴィス様にぐらぐら（笑） いや凄すぎ。
紫の記憶のクラヴィス様にも参りましたが、これにはもう降参です。
そうか、夜返してくださらないとこうなるのね。いや〜ん×２
私もこれから気だるい煩悩の海に沈みます（笑）
マジありがとうです。春明さん。