Between the sheet
寝室は静まり返っていた。それを打ち破るように、衣擦れの音がする。
「咽喉渇いていない？」
まどろみのあと、一言も声を発しないアンジェリークを、ランディは気遣う。
「はい、少し…」
さっき交わした愛の疲れに浮かされているのだろうか、アンジェリークはぐったりとしているようだった。
「ごめん、君があまりに可愛かったから…身体大丈夫？」
ランディは少し心配になった。
華奢で触れれば消えてしまいそうなぐらい細いアンジェリークが、ランディの激しすぎる求愛に耐えられなかったのかもしれないと思うと、胸が痛む。
「ええ…」
潤んだ瞳に見つめられるだけで、ランディは理性が飛んでしまいそうになる。そこをぐっと押さえて、今は水を持ってくるのが先決だと、颯爽と起き上がった。
「ごめんなさい…ランディ様」
今にも消え入りそうなぐらい小さな声で言われると、ランディは何でもしてあげたくなってしまう。
「ううん、気にしなくていいよ。こんなに疲れさせちゃったのは、俺なんだし…すぐ持ってくるからね」
ドアの閉まる音が響いた。
一人残されたアンジェリークは、余韻に浸っていた。
一睡もさせられず愛しとおされた身体は疲れきって、あちこちに痛みを伴っていたけれど、それでもランディが好きだから応えていきたい。
そんなことをぼんやりと考えて、ふっと視線を落とした。
さっきまでそばにいたランディの場所は、寝乱れていた。そして交わした愛の激しさにシーツは湿り、手で触れれば、さっと匂いが立ち込める。
その匂いはたちまちアンジェリークを包み込み、まるでランディに抱きしめらているような錯覚を起こさせた。
「ランディ様…」
ランディのことを想うだけで…身体が熱く火照る。身内から涌き出る泉が腿を伝う。心が溶けてしまう。
なんて自分は幸せなんだろう。
こんなに愛し、愛されて。
「待った？」
声のする方角を振り向くと、ランディが水の入ったコップを持って立っていた。
限りなく優しくひたむきな視線に、アンジェリークの頬は赤く染まる。
そっとシーツに滑り込んだランディは水を口に含むと、空いた手でアンジェリークを抱き起こし、唇を重ねた。
冷たい水が、アンジェリークの咽喉をうるおしていく。
水を飲みきった後、自然と舌を絡ませて、互いの呼吸や甘さを確かめるように、次第にその行為に没頭し始めたとき、
「…………」
ランディの持っていたコップの水が、アンジェリークの裸体にふりかかった。
「ご、ごめん」
サイドボードにコップを置き、ランディは慌ててシーツで拭おうとした
「いえ、大丈夫ですから…」
仄かな灯りの下で浮かぶアンジェリークの身体の上に、玉を連ねたような水の後が残る。
あまりに魅惑的なその姿に、ランディの理性はぶちきれた。
アンジェリークの濡れた身体を、舌で舐めあげていく。丹念に。
「はぁ…あ…」
ただでさえ熱く火照っているアンジェリークの身体は、更に燃えあがる。
「好きだよ…アンジェ」
「私も…好き。ランディ様」
こうしてシーツの間で、二人は重なり合った。夜が明けるまで。
キリ番666の創作です。志摩さまどうかお受け取り下さい。
Between the sheet という大変甘く、アルコール度数の高いカクテルがあります。それから取りました。
お酒の弱い人はあまりお勧めできないお酒なのですが、私はこれが結構好きで（笑）名前からしてドラマ
あるなぁと常々思っておりました。シーツの間ですもんね〜。シーツの間ではイチャイチャって感じで…ダメ？
ヘッポコですよね。まだまだ修行が足りません。これでも相当甘く仕上げたのですが…修行しなおしてきます。次回８６３のキリ番ではもうちょっと頑張らせてもらいますので。