罪のように欲深く
こんなにも傍にいるのに、あまりにも君が遠い。
君の優しさに期待して、月にすら行けると高望みをした。
実際は監禁部屋の粗末なベッドの上だというのに。
「あんたが好き、いうのが遅くなってごめんね」
彼女の告白も闇に溶けた。
体温が伝わるほどに近くても、オレとの距離は縮まらないままだ。
想いが募ればさらに欲が深くなってくる。そう、オレはマリナとの繋がりを求めるただの男だ。
健やかに眠るマリナを見る。
静かに胸を上下させて、寝息を撒き散らし安心しきってる彼女に触れる。
思えば予兆はあったのだ。
瑣末なことだが、このベッドに寝るのですら言い訳をマリナは用意していた。
オレと一緒が嫌なのかと勘繰ったけども、結局は共にベッドの就寝を選んだ。
キスを許され、見つめれば柔らかくはにかむ。
意味が判らないわけではないと、安堵した。
早く繋ぎ止めたいといつも願っていたから…
なのに…
目の前のマリナはオレを置いていった。
孤独よりも、戦いよりも激しい、狂った何かに身体が侵されていく感覚に、
理性で対抗しようとした。
だけども、先ほどのキスの感触がまだ残っている。
ふわふわの唇の味を知ってしまったゆえに、呼び起こされる劣情。
ああ、熱が……オレを焦がす。
もてあます身体をやり過ごす方法は一つしかない。
禁断の果実は齧ってはいけないものなのだ。
だからアダムとイブは楽園を追われた。
神聖なはずの行為でも、心構えでいかようにも変わる。
オレの指先は彼女の頬から唇へと移り、マリナが目覚めないと確信すると、大胆な行動に出た。
かすかな衣擦れの音が部屋に響き渡り、彼女のボタンを外せば仄白い肌が浮かび上がった。
子供と変わらない体型に、マリナがまだ女ではないと思い知らされる。
なのに指先は執拗に彼女を這い回す。
柔らかくそれでも弾力がある胸の頂や、首筋、耳の裏まで撫で回しながら自らの唇を寄せた。
マリナの肌にきつく吸い付けば、かすかに赤く色がついた。
執念じみた行動だけども、止まらない。
もっと見たい、もっと痕を残したい、とオレは服を剥ぎ取った。
露になる裸体に息を呑む。
どんな美辞麗句を並べても、表せないほどの透き通る白さ。
美しいとしかいえない。
女でもなく、人間ですらない、そう何か神々しいもの。
醜い感情に流されて、これからマリナを辱める自分とは違う生き物だった。
この事実に打ちのめされても、オレの熱は益々増していく。
いっそ目覚めてくれればいいものを、深い眠りに落ちたままのマリナが憎らしい。
切実に欲しているのは自分だけなのだ。
同じように求めて欲しいと願うのは罪だろうか？
傍にいてくれればいいと一人寝の夜に何度思ったことだろう。
そんな夜はとても身を苛んだ。
想像で、彼女を何度も犯した。
それでも、マリナはマリナで。
オレの思惑など超えてしまっている。
最低で屈辱なアルディの華麗の館だけども、傍にマリナはいてくれている。
だけども、それだけでは満足できなくなった自分には、今夜は余りにも……
残酷だ。
粘ついて腐った空気の中、高まる熱と青臭い匂いが更に自分を追い込んでいく。
何てことはない。
自身を慰める手段をとっただけだ。
滑稽なのは、何も知らず眠りこける彼女がオレの欲望の残骸にまみれても、まだ目覚めない。
だから今宵、オレは何度でもマリナを汚す。
オレが男である限り…望む夢。
果てしなく深い澱みに囚われていても、それでも、マリナが欲しい。
その小さな腕で、オレに縋りつけば、いくらでも愛など捧げるのに…。
すでにギリギリな中で、尚もオレは呟いた。
「早く…女になって」
Love Collecter 藤本サイトを開いて１０周年になります。おかげさまでここまでやってこれたのも
こちらにいらしてくださる皆様が熱く力添えをしてくださってるからでして、普段ムラがある私も
やってこられたんだと思います。本当に感謝しております。
このサイトの原動力は結ばれない二人をどうにかしてくっつけようとしてるわけなんですけれども、
しかし、サイトをやっているうちに自分の性癖に気づきました。そう、私はマリナのことを悶々と
想っているシャルルが大好物なんだ！ と。 しかも少々変態チックなのが…（困ったチャンですんません）
ですので、今回の話はやっぱりこだわりのあるパラドクスP100のあのシーンをまた焼きなおし
しました。だってねぇ…もう本当に本当に納得いかねぇ……なんで寝るんだ、マリナということで
ちょっぴりどころか、かなり大胆にマリナを汚してみました。でも、マリナは汚れない。
つか、それでも寝続けるマリナスゲー（笑）これもある意味パラドックスｗｗｗ
これって、なんつか、もうコメントに困るよね…。私のシャルルはこんなんじゃないわとおっしゃる方も
いらっしゃるでしょうが……だから、まあ、マリナがね、女になってないんですよ。もうシャルルは男なんだから
ヤリタイのは当たり前じゃないですか〜。しかし女からしたら初めての情交はやっぱり怖い部分もあるんですよね。
圧し掛かられて、貫かれるのは。（直接過ぎて…すんません）
でも、寝ても気づかないんだからやってしまってもいいんじゃと考えた私は、もう早くあの世へ逝くべきでしょうね。
ごめん、シャルルはやっぱり高潔なんですよ。だからマリナには手を出してないということで…勘弁してください。
シャルルだって思春期の男なんだから、ということでこういう歪んだのもアリかと思った私の世迷い話です。
付き合ってくださってありがとうございました。
そう、今思えば、寝るというのは無邪気なマリナの抵抗なのかも。
ああ、やっぱり男と女の間には、深くて長い川が横たわってるんでしょうねぇ…。
あ、こんな私ですがこれからもよろしく。