独 白 １
今日、嬉しいことがあったよ。マリナのほうからキスをされた。
はじめは頬に、瞼に額にそして・・唇に。彼女のキスはすごく短くて軽いキスだったけど、
愛情はとってもこもっていた。俺はこう言ったよ
「こんなのはキスとは言わないぜ、マリナちゃん。」
「出来れば、もっと長く、せめてこのくらい」
そう言って長く息も出来ないくらい彼女にくちづけ、
「そして、もっと情熱的に」
とささやいてキスをした。その後は・・・教えない。想像にまかせるよ。
独 白 ２
マリナが一日、アルディ家の厨房に入って出てこない。
どうやら俺に隠れて、手作りのチョコレートを作ってるらしい。
このぶんじゃ、きっと明日の朝までかかりそうだ。君のためにあえて、知らないふりをしてあげるよ。
そして・・明日、君が甘いチョコレートをくれたら、そうだな・・君がくれたチョコよりも、
もっと甘い俺のキスをお返しするよ。
虫歯には御用心だぜ、マリナちゃん。
独 白 3
カーク・フランシス・ルーカスが今、担当している事件が行き詰まりオレに意見を求めにやって来た。
オレは暇じゃないんだけどね。仕方が無いが協力することにした。
久しぶりにマリナはカークに会うのですごく喜んでいたよ。
マリナはカークの反応を楽しんで抱きついたり言葉でからかっていた。奴も奴だ、
相変わらず反応しやがってシャワーを貸してくれと言う。冗談でやっているのはわかるさ。
でも・・・たまらなくヤケるね。思わず言ってしまったよ。
「マリナ、いいかげんにしろ」って。
今夜、君を後ろから抱きしめ、柔らかな髪に顔をうずめこう言おうと思っている。
オレ以外の男に触るなってね。
独 白 4
カークの話を聞いているうちに、どうしても腑に落ちない点が出てきてオレはいつものように没頭しはじめた。
ああ、マリナに言わせれば発作だって言ってたな。
「マリナ、シャルルは本当にああなるとオレ達の声も聞こえないのかな？」
「発作だからねぇ。あたしがうろちょろしても話し掛けても全然反応しないのよ。」
「ほっぺにキスしても気づかないと思うわよ。」
どう考えても、彼が犯人だという証拠が無いな・・・その時、フワリとマリナの香りがして
オレの頬に触れてるかどうかわからないほどのかすかなキスを感じた。瞬間、オレはマリナの
顎をつまみ唇にキスをしてた。
「マリナ、頼むから静かにしてくれないか？」
マリナは顔を真っ赤にしていたような気がしたが、今はそれどころじゃなかった。
でもマリナちゃん、いくらオレが考え事をして周りのものが見えなくなるといっても、
君のキスぐらいは気づくぜ。
独 白 ５
マリナはいつも朝早く起きて、真っ先に食堂に向かう。食事をすればご機嫌だからね。
オレがゆっくり寝ていると、お腹が満たされたマリナはオレを起こしに来た。ベッドの脇に頬杖をついて
「シャルル、早く起きなさいよ。もう少しでお昼ご飯よ。」
「悪いが、まだ寝ていたい。君一人で食べるといい。」
オレは寝起きで少し機嫌悪そうに言うと、マリナはそんなのは、おかまいなしに
「昼ぐらいあんたと一緒に食べたいじゃない。」
その言葉に少し機嫌をよくしたオレは
「わかった。ランチは一緒に食べるよ。ただし、がっついて食べるんじゃないぜ。」
そう言うと、マリナは嬉しそうに
「うん。お昼はどんなメニューかしらねぇ。」
オレは軽く目を細め
「ああ、君はいつも食い物の話だな。 だったらいっそのことオレを食べるっていうのはどうだい？」
と言うと、マリナは何を勘違いしたか
「シャルルのお肉だったら美味しいかもしれない。」
と、本当にオレを食べそうな勢いで言った。
マリナ、意味が違うんだけどね・・・そう言いたかったが、オレはまだ眠くてその言葉を呑んだよ。
独 白 ６
マリナとの食事はすごくにぎやかだ。もちろん彼女は食べ過ぎるほど食べる。
「マリナ、手で食べるな、フォークとナイフを使え。」
「オレの分まで食うんじゃない。」
「それ以上、食うとブタになるぞ。」
オレはいつもこの台詞を言う。何度言っても彼女は食べまくる。オレはついに
「マリナちゃんあんまり食い過ぎると、くびれが無くなるぜ。」
マリナはまだパンを口に入れながら少し怒って
「失礼ね。くびれはあるわよ。よく見なさいよ。」
そう言って、腰を指差し
「ほら、あるでしょ!!」
オレはむきになる彼女がとても可愛く、マリナの腰に腕を絡ませ
「本当だ、かすかだけどあるよ、くびれ。でも、どうせだったら胸にお肉がついて欲しいもんだね。
そうじゃないと、この先つまらなくなるぜ。」
マリナはオレから抜けだそうともがいたが、
「だめだ、離さない。なんならオレがくびれを作ってあげてもいいぜ マリナちゃん。」
独 白 ７
寒気がして、体がだるい。風邪をひいたらしい。
早めにベッドで休んでいると、ドアをノックする音が聞こえた。
オレはけだるげに
「あいてる。」
マリナがドアの隙間から顔をだして心配そうな目でオレを見た。
「シャルル、風邪ひいたんだって？大丈夫なの？」
「さっき風薬を飲んだから大丈夫だよ。心配しなくていい。」
そう言うと、マリナは側に近寄って来て、オレの顔を覗き込むように見た。
「あたしにうつしてもいいわよ。」
オレが驚いて、目を見開いているとマリナは
「なんたって、あたしはめったな事じゃ風邪なんてひかないし、例えひいたとしてもすぐ治るんだから。」
自信満々に言いながら彼女は近寄って来た。
オレは腕を伸ばしマリナの両肩を押さえ
「君に風邪をひかれたらオレが困るね。」
マリナはちょっとからかうように
「あら、あんたあたしとキスしたくないの？」
「キスはしたいけどね。でも、今日はこっちにしとくよ。」
残念だけど、オレはマリナの首を引き寄せ、おでこにキスをした。
マリナはオレをからかうのがおもしろいらしく、
「へぇ、おでこだけ？」
オレはちょっとため息をついて
「おでこだけだよ。マリナちゃん。」
そして斜めに彼女を見て、
「そんなにオレとキスしたいかい？ だったら風邪が治ったら君の体中にキスしてあげてもいいんだぜ。」
そう言うと、マリナは慌てて部屋から逃げていった。
このぶんじゃ、まだまだだね・・・
独 白 8
背後でマリナが小さな声で言った。
「シャルル、好きよ。」
えっ？
当然、言うので驚いた。
どうしたんだ、急に？と聞きたかったが、もう一度、その言葉を聞きたくて聞こえなかった振りをした。
オレは肩越しにふりかえり
「なに？聞こえなかった。」
マリナはもう一度その言葉を口にした。
「あんたが好きって言ったのよ。」
何度聞いても、熱くさせるその言葉。
オレは笑いを含みながら聞いた。
「もう一度聞きたいな、マリナちゃん。できれば耳元で・・・」
「あんた、ほんとは最初から聞こえてたんでしょ!! 意地悪ね。」
そう言って、手を振り上げオレを殴ろうとした。
すかさずマリナの手首をつかみ
「いつも好きだって言ってるのはオレのほうだぜ、久しぶりに君の方から言ってくれたんだ、
何回聞いてもバチは当たらないと思うけどね。」
そして彼女の手首をオレの腰に持っていき、オレは彼女の背中に腕をまわして抱いた。
「嬉しいよマリナちゃん。でも、オレのほうがもっと君を愛してるよ。」
独 白 9
夜中、静まり返った館内でマリナの叫ぶ声で目が覚めた。
急いで、側にあったシャツをひっかけ彼女の部屋に向かった。
「どうしたマリナ!!」
マリナは暗闇の中で震えて泣いていた。
側にいって肩に手を置きオレのほうに振り向かせた。
「逃げなきゃ、捕まっちゃう。」
おびえながらそう言った。
怖い夢でも見たのか？
「走っても走っても、追いかけてくるのよ。」
マリナはオレの手を振り解こうと、もがいて叫んだ。
「はなして!! はなしてよ!! 逃げなきゃ!!」
「マリナ、落ち着け。大丈夫だから。」
何度そう言っても興奮がおさまらず、更に暴れはじめたので、オレはマリナの唇を強引に奪った。
彼女は一瞬目を見開き動きをとめた。
「マリナ、オレのことだけを考えろ・・・」
彼女を強く抱きしめ、耳元でささやいた。
忘れさせてやる。
オレの・・指・・腕・・肩・・胸・・そして息を・・・
オレの事だけを感じて・・・
マリナはしだいに落ち着いていき、ぐったりとオレに身をもたせた。
朝までずっと側にいるよ、もう怖がらなくていい・・・
独 白 10
オレの隣で安心して眠るマリナ。
彼女が眠ったら、オレはベッドから離れるようにする。
なぜかって？
自分の気持ちが押さえられないからね。
マリナはぐっすり眠る事が出来ても、オレには出来ない。
出来ないんだ・・・
今すぐにでも、抱きしめたい。
壊れそうなほど強く抱きしめて
何度も、愛の言葉をささやいて
やさしく、そして激しく君にくちづけて
オレのものにしたい。
でも、無邪気な顔で眠るマリナを、このままそっとしておきたいって気持ちもある。
大切すぎて、いとおしすぎて、抱けない・・・
オレらしくないな・・・
そんなオレの気持ちも知らずに、眠っているんだろうね。
でも、いつかは必ずオレのものにしてみせるよ。
覚悟しとけよ、マリナちゃん。
シャルル あなたのひとりごとは、私を昇天させてしまいますわ。
だってね、とっても甘いんですもの。 例えて言えば、バニラビーンズの
匂いというか、そういう漂う感じがして、とてもツボです。それでいて
結構激しいのですよね（笑） またカキコお待ちしております