Ｐｌｅａｓｕｒｅ

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雫の垂れる音が、地下室に響く。

光さえも射しこまない、囚人を閉じ込めるために作られた場所に、蝋燭に照らされた
二つの影があった。

黒髪の男と、栗色の髪の女。

「さぁ……立つんだ」

男は女に命令する。

「はい……」

「お前は…大切な、家宝を壊したのだからな。それ相応の責任は取ってもらわねば
ならない」

「………」

涙でうるむ瞳で男を見据える女。　

そんな女を、男はさらに追い詰めるように、言葉を投げる。

「どう責任を取るつもりだ？」

「レヴィアス様のお気が宥められるまで、私はどんな要求でも……飲むつもりです」

震える声で、答える女。

それを見下す男は満足げに

「よい返事だ。ならば、最初に命じよう」

「えっ」

女が言葉を洩らすと同時に、男が女の唇を塞いだ。

蛇のように執拗に女の口内を荒らす男の舌が、粘液を滴らせて舐めまわす。

女は身体を支え切れず、崩れ落ちた。それを男は覆い被さるように、女を蹂躙し、
さらに舌先を絡めあう。
息もできないほどに絡めとられて、女はぐったりと横たわることしかできなかった。

男は満足げに女を見やる。

「俺の火照りを鎮めよ」

女は戸惑いを隠せない。

「何をすればいいのですか？」

「バカか？　お前は？　まだ気付かないとは……教育をせねばなるまいな」

男はそう言いやると、立ちあがり、また女を立ちあがらせると、

「服を脱げ」

女はやっと男が命じてる意味を悟り、羞恥で顔を赤らめた。

「あ、あの……レヴィアスさま」

「脱ぐんだ」

鋭い視線で射抜かれて、女は服のボタンに手をかけた。

プチプチと小さな、それでも、沈黙を破るには大きな音が辺りに響いた。

晒されたのは、女のあられもない下着姿。

真っ白な布が、女の眩しいまでの白き肌にまとわりついている。仄かな蝋燭の炎で照らされる女はなまめかしかった。

さらさらと流れる美しい栗色の髪が、そよいで。

女は華奢な身体つきでありながら、胸の膨らみは下着から溢れんばかりで、蜂を誘う蜜よりも甘く匂い立ち、胸から腰にかけてのラインは、うっとりするほど悩ましく扇情的で、男の欲情をそそる。

男は女の身体に触れた。

シミ一つない清らかな身体の女の胸の膨らみの谷間に、男は胸を埋める。

「エリス……俺のものになれ」

女は男の言葉を計りかねて、ただ黙る。

男は女の首筋を舐め上げる。

女はそのくすぐったさに堪え切れず、身体を捩るのだが、男の力強い腕に囲まれてるせいか、身体の自由がきかない。

「い、いやぁぁぁ～～～～」

女の白い肌に刻まれる、唾液の道筋。

どうにかして抗おうとするけれど、所詮、女の力。

男に適うはずも無く。

なすがままにされる女の姿が、そこにあった。

だけども、男の欲望は果てしなく……

「滑らかな指をしているな」

男はそう呟くと、自らの手を女の指に重ね合わせて、いきりたった怒張に誘う。

顔どころか、胸元まで真っ赤に染め上げられた女は、もじもじと落ちつかない
動作を繰り返す。

「あ、あのっ………」

「動くな、エリス………」

男から洩れる息。

しなやかな指で触れられて、息を吹きかけられたがごとく、ますます膨らむばかりの
男の欲望。

熱くなるばかり………

男の意図を知らない女は、そのあたたかなものに触れさせられて、不思議と
落ちついてきた。

冷たき印象を受ける皇子でもある男が、あまりにも人間的で。

「レヴィアスさま……」

蒼色の瞳で、男を見やる女。

先ほどまでの怯えた影はなくなり、包み込むような温かさに満ちていた。

「どうすればいいのですか？」

女は男に問う。

「ならば…………」

男は女の身体に纏わりついていた布を引き裂き、そのまま押し倒すと、
生まれた姿そのままの女を視姦する。

瑞々しい肌は、朝露を受けて光り輝く白い薔薇よりも匂いたち……
胸の膨らみの中心に位置する可愛らしい蕾を左手で転がして……

女の一番潤うところに、男は右手の中指を挿し入れて、その中を確かめるように
かき乱した。

「ああぁ………」

襲い来るわけのわからない波に、女は声を洩らす。

満足げに男は口をほころばせると、

「お前がするべきことは分かってるだろう？　エリス……」

女は黙ってうなずいた。

横たわる男の傍にそっと寄り添って。

女は朱に染まった頬を男の胸にすり寄せて、段々と男の迸る中心部へと
舌を這わす。

拙いながらも、繊細に舐めまわして……

女はその中心に顔を埋めた。

溢れ出す………情熱。

「エリス………顔を見せてくれ」

女は男の望むがままに、顔を近づける。

その情熱の残滓を飲みきれず、女の顔にはあふれ出た痕跡が残っていた。

それを愛しげに眺める男

「綺麗だ………エリス……」

男の賛美に、とまどう女。

「レヴィアス様………」

その声にムッとして、男は女を強く抱きしめる。

「様はよせ、お前は俺のものでもあり、また俺はお前だけのものだ……
ずっと傍にいろ。俺以外の男はいないということを、お前に教えてやらねばならぬ」

そう男は女に告げて、灼けつくばかりの想いを、女に向けた。